防火対象物定期点検報告特例認定
Ⅰ.防火対象物定期点検報告特例認定
防火対象物定期点検報告が義務付けられている防火対象物のなかで一定の期間以上継続して消防法令を遵守しているものについては、管理権原者により継続的に法令の基準への適合を確保する体制が整えられ、法令の基準の変更を伴うようなことがあったとしても適切に対応することができると判断できます。そのため、管理権原者が消防長又は消防署長に申請を行い、消防長又は消防署長による書類等の確認又は当該防火対象物への立入り検査の結果、不備がなければ特例認定を受けることができます。認定を受ければ、3年間、点検と報告の義務が免除されます(法第8条の2の3、規則第4条の2の8)。
1)特例認定の要件
特例認定を受けるための要件は次のとおりです(法第8条の2の3第1項)。
- 防火対象物の管理権原者が管理を開始してから3年以上経過していること
- 過去3年以内において消防法令違反による命令を受けたことがなく、命令を受けるべき事由が現にないこと
- 過去3年以内において特例認定の取消しを受けたことがなく、受けるべき事由が現にないこと
- 過去3年以内において定期点検報告による点検と報告を怠ったことや虚偽の報告を行ったことがないこと
- 点検基準に適合していること
- 消防用設備等又は特殊消防用設備等が設備等技術基準に従って設置・維持されていること
- 消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検・報告がされていること
- その他消防法又は消防法に基づく命令に規定する事項で市町村長の定める基準を満たしていること
2)申請と認定通知
特例認定を申請する場合は、管理権原者が「防火対象物点検報告特例認定申請書」に防火対象物の管理を開始した日が確認できる書類(登記簿の謄本、賃貸借契約書等)を添付して消防長又は消防署長に申請します(法第8条の2の3第2項、規則第4条の2の8第2~4項)。
申請がされた後、消防署の検査を受け、その結果が特例認定の要件に適合している場合は、特例の認定通知書が交付されます。なお、検査の結果、特例認定の要件に適合していなかった場合は、不認定通知書が交付されます(法第8条の2の3第2項、規則第4条2の8第5・6項)。
3)特例認定の失効
特例認定を受けた防火対象物でも、次の事項に該当する場合は、特例認定が失効します(法第8条の2の3第4項)。
①認定を受けてから3年が経過したとき
※失効前に再度特例認定の申請をし、特例を受けることによって継続できます。
②防火対象物の管理権原者が変わったとき
※変更があった場合は、変更前の管理権原者が「管理権原者変更届出書」を消防長又は消防署長へ届出なければなりません。
4)特例認定の取消し
特例認定は、次の事項に該当した場合は、消防長又は消防署長によって取り消されます(法第8条の2の3第6項)
- 偽りその他不正な手段により特例認定を受けたことが判明したとき
- 防火対象物の位置、構造、設備又は管理の状況が法令に違反し、命令を受けたとき又は命令をうけるべき事由があるとき
- 一定の基準に適合しなくなったとき
※・防火対象物点検基準に適合しなくなったとき
・消防用設備等又は特殊消防用設備等が設備等技術基準に従って設置・維持されなくなったとき
・消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検・報告がされなかったとき
・その他消防法等に規定する事項で市町村長の定める基準を満たさなくなったとき
Ⅱ.防火セイフティマーク
防火対象物点検資格者による定期点検の結果、点検基準に適合していると認められた防火対象物は「防火基準点検済証」を表示することができます。また消防長又は消防署長の特例認定を受けた防火対象物は「防火優良認定証」を表示することができます。この表示により、防火対象物の利用者等に対して、当該防火対象物が消防法令に適合しているという情報を提供することができます。ただし、火災の発生による危険は、防火対象物の一部に不適合があっても全体に及んでしまいますので、管理権原が分かれている防火対象物では、防火対象物のすべての部分の点検結果が点検基準に適合している場合又は防火対象物のすべての部分で特例認定を受けている場合のみ表示することができます。